なんということであろう。世界は驚嘆している。イギリスのユーロ離脱に続き、トランプ大統領まで誕生してしまったのだ。このことは、国と国との争いを生み、民族同士の戦いを招き、世界全体の調和を崩してしまいかねない危険なリスクを秘めている。人々の中に人類が一つであり、人種や肌の色で偏見を受けることのない正しき思想が芽生えてきたというのに、彼らはそれを壊して「自分たちだけ良ければよい」というエゴイスト世界を作ろうというわけだ。いってしまえば、イギリスとアメリカの内に秘めていた感情が、表に出てしまったといってもよい。

一部の白人社会には、今でも民族優越感のようなものがあり、白人第一主義といえる誤った思想が残っているのは事実である。しかし、今回の事件はそれが一部の白人だけでなく、大多数の白人に残っていたことを表現している。アメリカの大統領が排他的かつ白人第一主義の危険な思想を持つ人間になってしまったのだから、これは言い過ぎではないだろう。黒人支持率は、少し前までたったの1パーセントである。そんな大統領がなぜ当選してしまったのかといえば、アメリカが未だに白人優位であり、それを表に出すまで危険な状態だということなのかもしれない。

一方、オバマ政権が長期にわたって存在しつづけたのも事実である。アメリカ社会は差別だけでは物語れない理想を持っているのだ。私は今回のトランプ大統領誕生に際して、どちらかといえば、そちらの理想に願いをかけたい。これまでのトランプ発言がパフォーマンスであることを信じたい。

さて、トランプ氏の発言の中での最も危険なリスクは、地球温暖化対策を軽視していることである。もはや、人類はこの問題の解決なくして長く生きることができないという状態なのに、天下のアメリカが手を抜けば解決は非常に難しくなる。このことが最大の懸念である。世界史にも残る危険な事態に、何を憂うかといえば、この地球のことなのだ。アメリカの大統領一人でなんとかなる話でもないが、アメリカ大統領が非協力的であれば、主原因を作っている人間たちが動かない。由々しき問題である。今後はトランプ大統領の良心を信じて、パリ協定などへの対応に注目したい。

次に、日本にとってどうなるかといえば、脱アメリカを宣言して日本独自の路線を進めば良いと私は思う。日本は、これまでアメリカに依存しすぎたのだ。そのメリットは大きかったが、デメリットも数知れない。日本人が日本人らしく生きるには脱アメリカを宣言しなければならない。そのためのチャンスだと思えば、今回の出来事もチャンスに変えることができる。

いつまでも嘆いていては始まらない。このことをチャンスに変えて、日本がより素晴らしい国家としてその役割を果たし、国際社会がよりよい方向に進むことを祈るばかりだ。