昨年、iPod touchの第5世代が発売され、iPhone 5ほどではないにしても世間を驚かせた。その本体は触れば手放したくなくなるほど薄く、そして軽い。

速度も格段に早くなり、iPod touchの第4世代で少なからず感じたモッサリ感はなくなった。色もバリエーション豊かで、知り合いとかぶることは少ない。

さて、そんな素晴らしいiPod touch。

今後、どんな進化を遂げるのか。この先のiPod touch 第6世代はどうなるのだろうか。iPod touchの第6世代があるのかどうかは知らないが、勝手な想像で考えてみたい。

筆者がそんなことを考えるきっかけになったのは、先日書いたようにAppleの株価が下落を続けているからである。他企業に比べて業績は悪くないのに、なぜか下がるApple株。

世間の期待が大きすぎるとしか思えない。

その証拠になりそうな判断基準として、Appleの業績発表がある。

これを見ると、Appleの業績は下がるどころか上がっているのである。

例えば、先般、発表されたAppleの「2012年12月29日を末日とする13週にわたる2013年度第1四半期の業績」を見てみよう。

http://www.apple.com/jp/pr/library/2013/01/23Apple-Reports-Record-Results.html

見出しには、「Apple、過去最高の業績を発表」とある。

その中身では、「当四半期、当社は過去最高の4,780万台のiPhoneを販売しました。対する前年同期の販売台数は3,700万台でした。Appleは当四半期、過去最高の2,290万台のiPadを販売しました。対する前年同期の販売台数は1,540万台でした。」とのことだ。

これだけ見ると、その業績に陰りは見当たらない。iPhoneとiPadの人気の高さが良く分かる数字である。
というより、売れ過ぎだ。

一方、筆者が気になったのは、そのあとの記述。iPod touch 第6世代に関係しそうな話だ。

「当四半期、当社は410万台のMacを販売しました。対する前年同期の販売台数は520万台でした。Appleは当四半期、1,270万台のiPodを販売しました。対する前年同期の販売台数は1,540万台でした。」

どうやら、MacとiPodは売り上げが下がったらしい。

Macの売り上げはともかく、ここで気になるのがiPod touchである。iPodはiPod touchだけではないので、iPod touchだけの売り上げが伸びているのかは不明だが、この感じだとおそらく伸びていないのだと思う。

iPodの売り上げが伸びない理由は、いうまでもない。

力の込め具合が違うのである。

このことは、昨年発売されたiPod touch 第5世代の発売間隔を考えてみればよく分かる。
毎年のようにバージョンアップするiPhoneやiPadとは違って、昨年発売されたiPod touch第5世代は実に2年ぶりの新機種だった。

発売間隔にあらわれているように、力の込め具合も半分程度なわけだ。

もちろん、2年間待った結果として、製品はなかなか素晴らしいものになったと思う。

しかし、それはiPhoneやiPadと比べてしまうと、差が大きい。

いってしまえば、お試し版の域を超えないのである。

これでは、この先iPod touchの第6世代が発売したとしても、売り上げは伸びない気がする。

もし、iPod touchの第6世代が発売するならば、せめてお試し版のような扱いではなく、iPhoneやiPad並みの扱いで発売してほしい。

価格も大事だが、製品の質も大事なのである。お試し版を続ける限り、iPod touchの第6世代があるとしても先行きは暗い。

iPod touchに思いのある筆者としては、第6世代発売時にもう一段レベルアップして、iPhoneを使わないユーザーのために一工夫して欲しいと願っている。

そうすれば、売り上げの下がるiPodにも光があたってくるのではないだろうか。

これから発売されるであろうiPod touchの第6世代に期待したい。